2022.10.24

山菱電機株式会社(徳島県)の訪問工場診断(2022年8月24日)




山菱電機株式会社は1939年に東京都大田区で創業し、1944年に徳島県に工場疎開して以来、徳島県にしっかり根を張り半世紀以上の歴史を有する会社です。創業の地である東京都大田区には、東京営業所や東京インバータセンターを設け、創業の地を決して忘れないという同社の想いをひしひしと感じ、この想いが同社の企業文化の原点になっていると思うに至った次第です。

 

同社は、主に周波数変換器、充放電装置や自動電圧調整器などの電気設備(制御装置)をはじめ、昨今では自動車用検査装置の電源制御装置を手掛けるパワーエレクトロニクスメーカーであり、今では全国に事業展開するに至っています。

 

同社のカイゼン活動や5Sは、昨今、35,000件の改善提案件数を達成するなど企業文化としてしっかり浸透しており、大企業にも引けを取らないレベルにあります。IE(Industrial Engineering)には、製造現場における7つの無駄を“かざふきてつどう”というキャッチフレーズがございますが、それを自社なりの解釈に置き換え、その看板が敷地内で確認する事ができます。工場内には“言訳の出来ない社外クレーム撲滅”という垂れ幕が掲げられているなど品質に対する意識の高さが伺えます。また、自動溶接ロボットを既に活用しているなど、自働化(省人化)の理解があり、これらの設備や装置への投資も前向きです。

 

電源装置やインバータ盤の組立作業には女性の従業員が多く、女性の活躍を後押ししています。更に女性活躍の場を広げて頂くためにも、加工工程などの重量物を持ち上げる・運ぶという作業負荷を、補助治具・AGV(AMR)・ロボットや補助治具などを活用して軽減させる事で、この様な重量負荷作業においても女性が活躍できる余地が充分にあるという印象を持ちました。

 

この度の診断では主な課題として、設計構造や思考の共通化やDX化など6項目を挙げさせて頂きました。同社は、人が手掛けないものを手掛けるという精神のもと、顧客要求を真摯に応え続けて技術力を高めてきた一方で、設計・製造ともに一品一葉の対応を取って参りました。生産性を向上させるためには、顧客要求の高まり、多品種少量生産である事を鑑みると、標準化という事に拘らず、たとえば、マツダ社の“コモンアーキテクチャー”という考え方の様に、共有する構造や設計思想を設定して、こられを個別の商品に転写するという、言い換えれば、“設計構造・思考の共有化”という思想や“フレキブル生産体制”を体現し、更に自働化やDX化を段階的に取り入れて進化する事で飛躍的な生産性向上を実現できると感じた次第です。

 

同社の圓藤社長は、診断結果に対して一定の理解を示していただきました。また、圓藤社長は現場の状況をよく把握しておりますので、更に企業文化を以てすれば、同社の課題を克服して更なる成長を遂げる事に間違いありません。

 

この想いに対して、DocFAIも微力ながら山菱電機様の一助になれれば幸いに思います。

  

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